新聞の折り込みチラシを食い入るように見つめた。
『サバイバル緊急防災用品 この1袋が家族を守る』
袋の内容写真の隅に『48時間生き抜く』とあった。
え?たったの2日で“サバイバル”とは大げさなような気もするが、このように食いつく者がいると思えばネーミング効果は絶大だ。
しかし内容を見ると全て家にある物ばかり。
仮に無くても2日位困らない気すら…という考えは甘いのだろうか。
ふと1月の西日本大寒波襲来を思い出した。
19万世帯が水道管破裂により断水。
テレビで福岡県のある家族(おばあちゃんと小学生の孫3人)の密着取材が忘れられない。
寒空の下、給水車の受水を並ぶこと1時間半。
持参のポリ容器は水で満たされ重そうだ。
ようやく孫達と持ち運び帰宅。
コップに汲んだ水を各自少量ずつ手洗いに使う。買ってきたおにぎりとコロッケで夕食。
紙皿と割り箸を贅沢に使い捨てて後片付けをするおばあちゃんが言った。
「食器を洗う水はありません。いつ水道が復旧するのか不安です。」
このポリ容器の水が家族の命を守っているんだ!
割り箸と紙皿も!
真のサバイバルグッズだ。
おばあちゃんは炊事が嫌いなのかと余計な詮索をした己を恥じた。
翌朝七田が「防災袋を買おう!」と声高に、興奮気味に言った。
七田もやはりあのチラシを見たのだろう。
写真の説明:
3/24朝撮影。桜の蕾のピンクと黄梅の黄がとても綺麗!
開花までもう少しのところをパチリ!
(どこにもピントが合っていない…)